素直じゃないあたしを温めて

「もし、自分を選べば自分には何も害は及ばなくて、
今まで通り同じ生活が送れる。


でも……大切な人の夢が壊れてしまう、無くなってしまう……」


「……彼氏の事?」



あたしはそんな拓未くんの

質問に返事をせずに続けた。




「……反対に、大切な人を選べばその人の夢は叶うけど、
今までの二人の関係が無かった事になっちゃう」



そう。

柳瀬を選べばあたし達はもう
恋人同士では居られなくなってしまう。


ただの……

生徒と教師。


そう割り切れる関係になってしまう。




「もう、自分じゃ分かんなくて……
すぐに大切な人を選ぶって答えられない自分が情けなくて……」




気付けばあたしの両目からは涙が溢れ出していた。


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