素直じゃないあたしを温めて

ありがとう、柳瀬


拓未くんに昨日話してよかったと思う。

ちゃんと決断出来たのはきっと、拓未くんのおかげ……





「山崎くん」




あたしは廊下で前を歩く山崎くんを声で呼び止めた。



「ああ、茂里さん。何?もう決めた?」



山崎くんはニコニコしながらそう言った。


あたしと山崎くんは廊下の目立たない、端っこの方に移動した。



「あたし……」



山崎くんがあたしの返事をワクワクしながら待っているようだった。







「あたし、山崎くんと付き合うよ」



ごめんね、柳瀬。

これが貴方のためでもあるの。



これが今のあたしに出来る精一杯の事。



柳瀬はあたしを変えてくれた。

だから……今度はあたしの番だよ。


柳瀬、初めてだもんね?

どこかのクラスの担任をするなんて。


だからあたしが……柳瀬の、

“皆を卒業まで見届けたい”
っていう夢、叶えてあげる────……

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