素直じゃないあたしを温めて
「相手が自分の事を振り向いてくれないなんて、楽しく無いだろ?
……ずっとそんな事を続けて何になるって言うんだよ」
「俺はっ、俺はただ琥珀の事が……!」
「分かる。分かるよ。好きな人と一緒に居たいって思うのは分かる。
好きで好きでどうしようも無くなるのも分かる。
でもお前は……好きな人の愛し方を間違ってるんだ」
「え……?」
柳瀬はそっと山崎くんに近付き、
優しい顔でこう言った。
「好きな人が嫌がるような事をしてどうするんだよ。傷付けるだけだろ?……本当に好きなら、その人の幸せを願えよ」
「……」
一筋の涙が山崎くんの頬をつたった。
「幸せに出来るのが自分じゃないなら……そっと見守れよ」
「っ……」
「……お前にもお互いに想い合える人が出来たら良いな」
「うわあああああっ……!」
山崎くんはその場で泣き崩れた。
そんな山崎くんに柳瀬は手をポンと頭に置いた。