素直じゃないあたしを温めて

自分の心


きっと、あたしは気付いているはずなのに。



「柳瀬ー……入って良い?」




あの後、何も言わずに柳瀬は去って行き、一人で部屋に入って行った。


しばらくしてから、あたしは柳瀬の様子が気になり、ドアをノックしてそう言った。



ガチャ



数秒の沈黙があってから、中からドアが開き、


「……どうぞ」


そう低い声で呟いた。



幸子さん達は掃除をするために別荘にやって来たから、何日か此処に居るらしいけど、

学校やらバイトやらがある
あたし達は明日、帰ることになっている。


柳瀬も一緒に帰るけど、
その前に声を掛けておきたかった。



中に入ると、ベッドと真ん中に丸い机がある、

シンプルな部屋だった。



柳瀬がベッドの上に座ったから、あたしもその隣に座り、

ふう、と息を吐いた。
< 354 / 440 >

この作品をシェア

pagetop