素直じゃないあたしを温めて

柳瀬っ、柳瀬っ────!



「病院の中で走らないで下さい!」


そう注意されてもあたしの耳には届いていなくて。

ただ、ただあたしは……


まだこの近くに居るはず。



だから……

お願い、居て……!


あたしはっ……!!



「柳瀬────っ!」



走っても走っても見当たらない。

叫んでも、何だ?と振り返ってくれる人が居ない。


「何処っ……!!」


今はただ、無我夢中に……


「痛っ」


今日に限ってどうしてこんなにかかとの高い靴を履いて来たのだろう。

勢いよく走ったら、足をくじいてこけてしまった。



「最悪……」



情けなさと悔しさで、目に涙が滲んだ。


会えたかもしれないのに。

もっと、早く走れば会えたかもしれないのに……

どうしていつも──




「ばーか」
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