つよがり姫に振り回されて


「…怪我、大丈夫か?」

やたらと心配してくれる梨沙。
まぁ怪我してるし、普通の事なんだろうけど。
『大丈夫』って言っても、少ししたらまた聞いてくる。
その繰り返しだった。

「大丈夫だって。心配性か、お前は…」

「だって…私のせいで…」

今にも泣きだしそうな顔。
梨沙のせいじゃないのに。

「お前のせいじゃねぇって」

Σぎゅっ…
言い終わった時には抱きしめていた。
梨沙は少し震えていた。

「…ほら、我慢できなかった」

「えっ?」

「梨沙がそうやって泣きそうな顔するから。俺、我慢してたのに」

「がま…ん?」

次梨沙に触れてしまったら抑えきかなくなるってわかってたのに…
やっぱりそれは無理だったわけで。


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