悪魔のようなアナタ【完】
美奈はぐっと手を拳に握りしめた。
胸に黒い嫉妬が広がっていく。
どう考えても灯里より自分の方が彼にはふさわしい。
容姿も知性も、そして何より自分は彼が好きだ。
彼のことを毛嫌いしている彼女より、彼にずっと想いを寄せていた自分が傍に居る方が彼のためになるだろう。
こんな風に考える自分は歪んでいると思う。
こんなことを考えてはいけないとわかってはいる。
灯里には何の罪もない、……それでも、憎い。
灯里は彼にふさわしくない……。
それを思い知らせれば、彼女は彼の前から身を引くだろうか?
そして、玲士は自分の方を向いてくれるだろうか?
危険な考えが脳裏をよぎる。
自分でも異常だとは思うが、一度思ってしまったことは止められない。
美奈はその可愛らしい顔を歪め、クスリと笑った……。
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