悪魔のようなアナタ【完】
一時間後。
灯里は真木部長と玲士に連れられ、事の顛末を報告するため取締役室へと向かった。
ちょうどその時運悪く取締役会をしており、灯里のミスが取締役全員に知られることとなってしまった。
背を屈める灯里に、取締役の一人が厳しい視線を投げる。
「データが消えた? どういうことだ!?」
「今朝見たら、その……」
灯里は力なく俯き、喉の奥から押し出すように小声で言った。
取締役の一人はそんな灯里に舌打ちし、真木を見る。
「こんな若いのにやらせていたのか? 展示会はわが社の重大なイベントだぞ!?」
「はっ、申し訳ありません……」
真木は冷や汗をふきふき、頭を下げる。
灯里は心底申し訳ない気持ちで一杯になりながらじっと俯いていた。
じわりと目尻に涙が浮かぶ。
泣いてもどうしようもないとわかってはいるが、こんな経験は初めてでどうすればいいのかわからない。
「吉倉。サーバの他の場所は探してみたのか?」