悪魔のようなアナタ【完】



灯里はニコリと笑いすぱっと言った。

只でさえ美奈も疑ってかかっているらしいのに、香川さんにまで変な誤解をされてはたまらない。

この間のデータ作成の時にちょっとだけ玲士にドキッとしたものの……。

あれは地獄科悪魔属に属する生き物だ、少なくともヒトではない。


「水澤くんにしてはけっこういろいろ動いてるような気もするけど?」

「悪魔の行動基準は人間のあたしにはよくわかりません」


さくっと言った灯里に香川さんと山岡課長は声を上げて笑う。

何が楽しいのかよくわからないがどうやら受けたらしい。

ひとしきり笑った後、香川さんは笑みを浮かべたまま山岡課長に言った。


「水澤君が吉倉さんを気に入ってる理由がわかるような気がしませんか?」

「そうだな。いいコンビかもしれないね~」


二人はふむふむと顔を見合わせ、頷いている。

コンビって……。

灯里は肩を落とし、げっそりした顔で携帯を閉じた……。


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