悪魔のようなアナタ【完】




と香川さんはバスの方に視線を流す。

視線の先にいたのは玲士だった。


玲士は黒い細身のカーゴパンツに白いシャツ、その上にグレーのボーダーカーディガンを羽織っている。

玲士の私服を見るのは初めてだが思った以上にシンプルで、彼の端整な美貌に良く似合っている。


「あれはまた、違うタイプの美形よね」

「……」

「あれだけ綺麗だと性格歪んじゃうのも仕方ないわよ。黙って立ってりゃ目の保養なのにね……」


香川さんは腕を組み、しみじみと言う。

ごもっともですと灯里は内心で深く頷いた。




< 181 / 350 >

この作品をシェア

pagetop