悪魔のようなアナタ【完】

6.超過保護?




――――10分後。


灯里は桃を三個ほどもぎ取ったところでテーブルスペースへと向かった。

テーブルスペースには桃を食べる専用のテーブルが並んでおり、テーブルの上にはお皿や手拭き、プラスチックのナイフなどが用意されている。

見ると、山岡課長や香川さんは既に席に座っている。

灯里も二人のいる方に行こうとした、その時。


「吉倉、こっちだ」


横から小さな声がし、灯里は足を止めた。

この低いバリトンの声は……晃人だ。


晃人は桃の木陰の奥から灯里を手招きしている。

晃人がいるテーブルは奥まっており、木に隠れ周りからは見えにくい位置にある。


「桃は取れたか?」

「うん」


灯里は頷き、テーブルの上に目をやった。

見ると。

色よく熟したとても美味しそうな桃が3個ほどテーブルに載っている。


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