悪魔のようなアナタ【完】



「うどん……いや、ほうとう?」

「……何しに来たのよアンタ」

「様子見に。ってお前、それ麺じゃなくてそばがきになってるよ?」


見ると、包丁を入れる方向を間違えて大きな塊ができてしまっている。

玲士に気を取られて手元が狂ったらしい。

蒼白になった灯里に玲士はくすりと笑った。


「すごいね。おれとお前では、麺の定義が違うみたいだね?」

「ンなわけないでしょ!?」


灯里は思わず怒鳴ったが、この塊をどうすればいいかまるで見当がつかない。

呆然とする灯里に玲士はいつものブリザードのような瞳で笑った。


「じゃあね。頑張って?」

「……っ」


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