悪魔のようなアナタ【完】



晃人の質問に、玲士はふっと視線をそらして息をついた。

――――この会社に入った理由。


この男相手に本当のことを言うわけにはいかない。

玲士は頭の中で素早く当たり障りない答えを考えた。

その時。


「失礼しまーす……あ、まだ使ってますか?」


電機設備課の山岡課長が会議室に入ってきた。

どうやら次の会議で使うらしい。


二人は会話を止めて立ち上がった。

晃人に続き、玲士も部屋を出る。

男らしくがっしりしたその背を、玲士は歩きながら冷静な瞳でじっと見つめていた……。


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