悪魔のようなアナタ【完】



『君はなぜ、この会社にいる?』


晃人の言葉がなぜか胸に蘇る。

晃人は野心と努力で今の地位を勝ち得てきた人間だ。

自らの望むもののために最大限の努力をし、自らの力で得る。

そんな男が灯里を愛しているのだ。


「灯里……」


玲士は呟き、目を瞑った。

あの男にあって、自分にないもの……。


――――それが何なのかは、なんとなくわかっている。


昏い闇が玲士の心を覆っていく。

逃れられない、闇……。


玲士は大きく息をつき、缶コーヒーを片手に立ち上がった……。



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