悪魔のようなアナタ【完】



「あいつが彼女って……。それって彼女っつーか人身御供だよね……」


灯里は氷の瞳を思い出し、ぞっと背筋を震わせた。

――――そう、水澤玲士にも彼女はいない。


あれだけの美貌であっても、あの破壊的性格では交際は難しいだろう。

などと灯里は思っているのだが女性社員の中には彼を狙っている人もいるらしい。

蓼食う虫も好きずきと言うしかない。

灯里ははぁとため息をついた。

その時。


「お姉ちゃん、ご飯だって~」


コンコンというノックの音ととともに弟の柾貴が入ってきた。

柾貴は灯里より10歳下で、今年中学を卒業する。

灯里と同じくウェーブのかかった髪に、ぱっちりした瞳。

来年から高校ではあるがまだまだ幼さを残している。


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