悪魔のようなアナタ【完】
10分後。
三階の役員会議室の端の席に灯里は座っていた。
会議テーブルに座ったメンツは……。
総務経理担当取締役の晃人に、商事部の真木部長と総務部の鳥山部長。
経営企画室の沢井室長に、部下の玲士。
そして端の席に電機設備課の山岡課長と部下の灯里。
よりによってこのタイミングでこのメンツとは……。
灯里は薄ら寒いものを感じたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「時間がありません。さっそく説明をお願いします」
晃人の言葉に、沢井室長は震える手で資料を差し出した。
さきほど印刷会社から届いたばかりの決算短信だ。
その中の蛍光マーカーがついている部分を晃人はじっと見つめた。
「2千万が20万、ですか……」
「その他にも、粗利が微妙に違っています」
切羽詰まった声で沢井室長は言う。
その横で玲士が静かに口を開いた。