悪魔のようなアナタ【完】



<side.美奈>



「……なに、これ……」


掲示板に自分の名前を発見した美奈は一気に青ざめた。

――――孫会社に出向。


まさか、これは……。


ふらりとよろめいた美奈の目に、通用口へと歩いていく晃人の姿が映った。

晃人は美奈の姿をちらりと一瞥し、奥の方へと歩いていく。

美奈はとっさにその後を追った。


「神園取締役!」


通用口を入ったところで美奈が呼ぶと、晃人は足を止めてゆっくりと振り向いた。

その瞬間。


昏く光る刃のような瞳に美奈は息を飲んだ。


「……河瀬か」


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