悪魔のようなアナタ【完】



頭が真っ白になり何も考えられない。

美奈は自分が敵に回した男の正体を知り、血の気が引いていくのを感じた。


この男こそ、悪魔だ。


恐らく晃人は容赦なくやるだろう。

ひとかけらの慈悲も見せず、美奈の父や弟を社会的に抹殺するに違いない。

それだけの力も人脈も、意志も持っている。


「……行け」

「……」

「聞こえなかったのか。行け。二度とその姿を見せるな」


晃人は冷酷な声で言い、踵を返した。

美奈は恐怖のあまり一歩も動けず、その場に立ち尽くしていた――――。



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