悪魔のようなアナタ【完】



会議が終わった後。

灯里は呆然としたまま、ふらつく足で自席に戻った。


「信じられない……なんで……」


先ほど、会議室で見たあの顔が脳裏から離れない。

7年前に比べて雰囲気はかなり大人っぽくなっているが、彼の顔を自分が見間違えるはずがない。


――――神園晃人。32歳。

忍村株式会社から出向してきた取締役で、総務・経理の総括を担当する。

忍村の会長の甥にあたり、税理士資格を持ち、将来は忍村グループの重鎮となる予定。


「……なんで……晃くん……」


灯里は思わず頭を抱え込んだ。

まさかこんなところで彼と再会すると思ってもみなかった。

晃人はこちらには気づいていないようだったが……。


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