悪魔のようなアナタ【完】
「あ、信号変わった。動くよ~」
山岡課長の言葉とともに車がゆっくりと動き出す。
やがて車はゲートを通り、三村電機の駐車場に入った。
山岡課長が手際よくバックで駐車し、エンジンを止める。
と、その時。
駐車スペースの端にあった車からスーツにビジネスバック姿の男が降りてきた。
晃人だ。
「あ、取締役だ」
「……ほんとだ」
「社用車じゃないね。自分の車で来たのかな?」
首を傾げる山岡課長の視線の先にはガーネットブラックのジーマがある。
ジーマは大人向けのセダンタイプの車だ。
やはり取締役ともなると乗っている車も庶民とは違うらしい。