悪魔のようなアナタ【完】



「覚えておいて、灯里。……たとえ忘れても、思い出させるから。何度でもね」

「……水澤くん……」

「じゃあね、灯里」


くすりと玲士は笑い、灯里の手にばさっと資料を渡した。

そのまま踵を返し、給湯室から出て行く。


全てが突然すぎて、思考が追い付かない。

今の玲士の言葉、そして眼差しがなぜか灯里の胸を深く抉り、そこから切ない痛みが広がっていく。


玲士の背が廊下の向うに消えていく。

灯里は呆然とその光景を見つめていた……。


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