悪魔のようなアナタ【完】



定時後。

時間きっちりに会議室に入り、灯里はパソコンを机に置いた。

玲士はまだいない。


あの悪魔が助けるだなんて、……絶対に裏があるとしか思えない。

自分はひょっとしたら玲士にとんでもない貸しを作ろうとしているのかもしれない。

なんだか後でひどく後悔しそうな予感がする……。


と灯里がぞぞっと体を震わせた時。

入り口の扉が開き、玲士が入ってきた。

その手にはA4のノートパソコンがある。


「時間通りだね。よろしい」

「……」

「では早速始めようか。わかってると思うけどおれは厳しいからね」

「……っ……」

「お前が泣こうが喚こうが倒れようが死のうが容赦しないからね。そのつもりで」


どんだけ厳しいんだよ!

と思った灯里だったが、現実はさらに厳しいということを一時間もしないうちにその身で味わうこととなってしまった――――。


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