永遠の愛
「そんなの嘘に決まってんじゃん」
「は?」
「だから、嘘」
「嘘?」
ちょっと首を傾げて顔を顰める諒ちゃんに、また呆れる。
「口実だよ」
「何が?」
「香恋ちゃんを使ったって事。知ってるよ、あたし。諒ちゃんより翔のほうが好かれてんでしょ?」
「まぁ、確かに当たってる、かな?」
「なのにさパパ、パパなんて言うの?」
「そりゃあ言うだろ、毎日家にいんのに」
「けど諒ちゃん仕事忙しい時、香恋ちゃんと会わないんでしょ?毎晩遅い時もパパ、パパなんて言わないって言ってたよ、葵が」
「……」
「なのにさ、ちょっと離れたくらいで言わないでしょ。葵の口実だよ。葵が諒ちゃんに会いたいからだよ」
「……」
「そー言うの葵って、言わないじゃん」
「あぁ、そっか」
何をどう納得してしまったのか、諒ちゃんは少し眉を顰めながらまた首を傾げた。
「そう、そう言う事」
「つか、俺らの家庭に首を突っ込むな」
「じゃあ、あたし達の事にも首を突っ込まないでくれる?」
「突っ込まねぇよ」
嫌味ったらしく言って、嫌味っらしく返される。
何も変わってない言葉の会話。
もしも、翔が入院してる事を知ってたらあたしはどうしてた?
もしも、あたしが留学なんてしてなかったら今頃どうしてた?
もしも、あの時、翔に距離を置こうなんて言ってなかったら?
そんな、頭に圧し掛かる“たられば”が何でか切なくて、どうしようもなかった。