永遠の愛
懐かしい風景が載っているパンフレットを見て、ふと…もう一度あの場所に行きたいと思ってしまった。
ただ、そう思うのは今、ここに…日本に居てもやるべきことはないと思ったから。
結局それって逃げてるって事なんだろうけど、ここに居ると余計な事ばかりを考えてしまう自分が居る。
考える事が多すぎて、頭が凄く重くて身体さえもついていけない。
“好きなのに離れる必要ないと思うけど”
そう言った菜緒の言葉が自棄に沁みついて、また悩みを膨らます。
だけど恋愛ほど重みを感じるものはないと思った。
離れた今じゃ凄く分るの。
あの空間がどれだけ幸せで貴重だった事が。
でも、それを避けたのはあたし。
それを自ら離したのは、あたしだから。
「…行こう、…かな」
ふと、呟いたあたしはパンフレットを閉じて、揺れる電車の窓から景色を眺めた。