永遠の愛

「見れば分かる」


言われたままにあたしは封筒の中を覗く。

そしてその中に見えた一枚の紙を引っ張り出し、それをそっと開く。


開いた瞬間、思わず目を見開き素早く翔に視線を送った。


「これ…」


見つめる先にはくっきりと描かれた“婚姻届”の文字。


瞬きをする事さえ忘れてたあたしは、まっすぐ海を見つめてる翔を見つめてた。


「美咲がもう一度旅立つって言った時、そのある物で決めていいからって言ったのはその事」

「……」

「美咲、言ったよな?俺がお前の者だって言う何かが欲しいって」

「うん」

「結婚しよ。ずっと一緒に居る自信あるよ、俺は」


そう言って振り向いた翔は口角を上げ柔らかく笑みを漏らす。

その笑みから思わず目が潤んでしまったあたしは視線を避け、一枚の紙切れをボンヤリと見つめた。


真っ先に書かれてある翔の名前。


そして隣の空白。ここに、埋めていいのかと。

ここに、あたしの名前を本当に埋めていいのかと、少しだけそう思った。


「…あたし、いい女じゃないよ」


ポツリと呟いた声は、波の音で更に小さくなる。


でも。


「俺もそう。出逢った時から気持ちは変わらないから」


ギュッと寄り添う様に翔に引きつけられる身体。

潤んでた瞳が次第に見えなくなり涙で埋まってた。


翔と同じ様に身体に腕を回し、


「ありがと。嬉しい」


涙とともにそっと、囁いた。



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