一夏のユーフォリア
第一話 家出少年

気付けば家を飛び出していた。
両親が俺を見る蔑みの視線から、兄妹が俺を見る同情の視線から、逃げるように遠くへ行きたくて。走って近くの駅まで行ってちょうど来た電車に飛び乗って3つ先の駅まで行った。
「はぁ……」
3つ先の駅、中内駅で降りた俺はベンチに座って深く溜め息を吐いた。
この町は俺が高校に入るまで暮らしていた町だから見知った顔もいたりする。しかし現在時刻は午前12時3分。こんな夜中に誰かの家へ行くなんて非常識すぎだと思い、俺はしばらくベンチに座っていた。
ある程度経ってとりあえず歩こうと、俺はベンチから立ち上がった。自動販売機があったから眠気覚ましにコーヒーでも買おうかと思い120円を入れてコーヒーのスイッチを押したがなかなかコーヒーは出てこなかった。諦めた俺はその上の段の炭酸飲料を買うことにした。ちなみにぶどう味。

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