嘘つきヴァンパイア様


「なんだよ?まだ、かまってほしいのか?」

「え……あ、いや…なにしてるのかなって」


本当は、呉羽が起きているのなら起きていたい。けれども、そんなことを言ってしまえば「寝ろ」と言われるのは目に見えていた。


だから、さりげなく手元をみるが、はやりそこには、涼子には理解しがたい文字が並んでいる。


レシィに冥界の文字は習っているが、分かるのは単語ばかり。文章など分かるわけがない。


「読めるか?これは、報告書だ。冥界を見回った家来達のな」


「そうなんだ。ごめん、まだ読めない。どんなことが書いてあるの?」

「どこを見回ったかとか、トラブルがあったなら内容と、どのように解決したとかだな。たまに、それ以外のこともあるが」


(それ、以外のこと?)


首を傾げると、呉羽は書類にスラッとサインをし、次の書類を眺める。


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