政略結婚 ~全ては彼の策略~

***

優香が目を覚ますと、既に朝日が部屋に差し込み薄明るかった。


見慣れない部屋に一瞬驚くが、昨日の事を思い出す。

隣には優香を抱きしめるような格好ですやすやと無防備に眠る悟がいた。



——何もありませんでした…。


いや、正確に言えば、何もなくはなかった。
先週と同じくあれやこれや触られまくったが、優香の想像するような事には至らなかったのだ。

深夜深くまで執拗なまでに愛撫された体はまだ熱を持っていた。

優香の着ていたワンピースの部屋着やキャミソール、下着はベッドの下に敷かれているラグの上に放り投げられており、それだけを見ればまるで愛し合ったかのような現場である。


現に優香は裸の上から悟の部屋着の上だけ着せられており、悟は上半身裸で部屋着のズボンを履いている状態だ。


あの後ベッドに入り電気を消してからは、悟の匂いに包まれながら全身隈無くキスをされ、今日こそ最後まで……と決心していた優香はまたしても拍子抜けしていたのだった。


確かに最後の方は悟に翻弄され記憶が曖昧であまり覚えてはいない。
それでも悟がズボンを脱ぐことはなかったし、勿論体を繋げることもなかった事だけは分かる。

やはり、自分とではそういう気分にはならないのだろう。
義務でしてくれているなら、いっその事もっとあっさり終わらせて欲しくらいだ。

優香は静かにしゅんとしながらも、特権とばかりに眠っている悟の胸に顔を寄せる。

肌から香る悟の匂いを吸い込みながら、優香は再び瞼を閉じた。



< 51 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop