束縛、それが僕の愛情表現
俺が今殺そうとしているんだ・・。

俺は晴菜を見つめたまま思った。

このまま自分の首にカッターを当てたら晴菜と一緒に、

あっちの世界に行けるのだろうか・・・。

そしたらきっとずっと

“永遠に一緒に居られる”

「晴菜・・・?」

さっきまで聞こえていた僅かな呼吸も、

止まった。

晴菜の手首に指を当てると、そこにはもう脈が動いている気配は無かった。

「晴菜・・・待っててね。俺も今、そっちに行くからっ・・」


2人で同じ日に死んで、あっちの世界で同じ時を過ごそうって、

そう考えてる俺を、晴菜は嫌ってる?でも

晴菜がどんなに嫌ってても、俺は晴菜が大好きで

心から愛してる。心から愛しい。

不器用な愛情表現でしか晴菜を愛せなかった俺を許して・・・?

俺はいつのまにかキッチンに向かっていて、さっき晴菜が自分の指を切った包丁を持って晴菜の隣に座った。
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