彼女は予想の斜め上を行く
新しい勤務地。
開発課に異動して、二週間。



俺のことを「ちょうの」と読み間違えた製造課の美女。金本葵は開発課の手伝いをしているというだけあり、1日に何度か開発課を訪れる。

俺としては、かなりタイプの金本さんにはお近づきになりたいわけで。

しかし、慣れない仕事に悪戦苦闘。

中島先輩のサポートを受けて、なんとか業務をこなす。

そんな毎日のお陰で、お近づきどころか彼女が開発課に来たことすら気づかないこともある。

というわけで、彼女とは初異動日以外の会話は皆無。

お近づきになんて、夢のまた夢だ。



そんな中、俺にチャンスが訪れた。



「ごめん!勇人!!」

就業時間直前。

人並みの俺に、申し訳なさそうに手を合わせる完璧な男。中島裕行。

「いやっ、まぁいいっすよ……。それより、もしイイ子いたら俺にも紹介してくださいよ?」
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