彼女は予想の斜め上を行く
えっと……。

つまりは、一緒に練り直してやる……と。

だから、部屋に入れよ……と。

もっと悪戦苦闘するかと思いきや、あっさりと部屋に入ることを許され拍子抜けする。

いや、いや…。

それでも、相手はあの恐ろしく斜め上を行く自由奔放女だ……。

いつ気が変わって、内角をえぐる直球のような罵声や。

なんなら彼女の部屋に置いてある本物の球を投げつけてくるとも限らない。

備えあれば憂いなし。

予測不可能な女の部屋に臨戦態勢をとりながら恐る恐る足を踏み入れる俺は、やっぱりヘタレでおまけにビビりだと思う。



―――備えというやつは、役に立たなかったし起動すらしなかった。

つまり、直球型の罵声も本物の直球も飛んで来なかったというわけで。

いわゆるマゾではないので、罵倒されず何事もなく平和なのは素直にいいことだ。

ただ、何事もなさすぎだ。

突っ込むところが、あると思う。
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