彼女は予想の斜め上を行く

飴細工のデモンストレーション。

息で吹いたりポンプを使ったりして空気を飴の内部に送り込むことにより、丸い立体的な形に成形する技術である吹き飴。

これを用いて優雅な白鳥を作る際空気を入れ過ぎた為、危うく丸々と太ったアヒルになりかけていたのだった。

「バレた?」と葵は罰の悪そうな顔をして振り向く。

「バレバレだっつーの」という言葉と共に額にデコピンをお見舞いしてやると、涙目で睨み付けて来た。

上目遣いにしか見えないその表情に理性の限界を覚えかけたので、腕の力を抜き葵を解放する。

小さく息を吐き出し、安堵した様子に地味に傷付いた。

今度こそ別々の部屋にお互い足を踏み入れ、静かに扉を閉めた。





部屋に入るとベッドに腰掛け、ある番号にダイヤルする。

「うぃーっす。お疲れ。え?あぁ…。まぁ順調だよ…」

言葉に詰まったのは、白鳥製作時に焦った表情を浮かべていた葵を思い出し、《順調》とは程遠い気がしてたから。
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