彼女は予想の斜め上を行く
そして俺の手を掴み、つかつかと歩き出した。

「かっ、金本さん!?」

当然ながら、俺は彼女の行動に驚く。

そんな俺を他所に「車どれ?」と、平然としている彼女。

「おっ、奥の黒い車です!」

「あ~。あれね」

車の前に着くと、彼女は俺の手をパッと離した。

「あっ…」

突然離れた手に、思わず声が漏れた。



《手を繋ぐ》……。


いや、さっきの状況は《掴まれている》というのが正確か……。

それぐらいで驚いたり、動揺するような年齢のつもりはなかった。

だけど………、さすがにこれは突然過ぎた。

高校生かよ?とツッコミたくなるくらい動揺して鼓動の早くなる自分がいる。

そして、手が離れたことが名残惜しく寂しく感じる自分もいた。



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