彼女は予想の斜め上を行く
あの悲惨で強烈な口喧嘩を見たあとで不謹慎だとは思いつつ、諦めかけていたチャンスが再び訪れたことが素直に嬉しかった。

首を縦に降る俺を見て、金本さんは満足げな表情をした。

「明日11時に駅北集合。それから………」

金本さんは、鞄の中から携帯電話を取り出した。

「赤外線」

「へ?」

「連絡先。わからないと、困るでしょ?」

俺も慌てて携帯を取りだし、携帯の赤外線機能で連絡先を交換した。

「じゃっ、明日ね。お疲れ」

そう言って彼女は、一番近くにいたタクシーに乗り込んだ。

そして、あまりの嬉しさに昇天気分の俺一人を残し去っていった。



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