社長と秘密の生活


杏花の実家は老舗寿司屋。

だから、ダシの取り方から包丁の使い方まで、

幼い頃から仕込まれたらしい。

そして……極めつけは、コレ!!

うわぁ―――ッ!!今日もマジでスゲェ。

良くこんな手の凝った料理を、朝のあの短時間で用意出来るなぁ。


―――――そう、この『愛妻弁当』

秘書の沢田は、“男2人で外食せずに済む”って喜んでたっけ。

小さめのお重に『売り物』と勘違いする程の料理が詰まっている。

コレを全て手作りだなんて。

―――――凄すぎる。


杏花は料理が好きらしく、毎朝の朝食は勿論、

前日の夕食の残りだって使った事は1度も無い。


思わず顔がニヤけてしまう。

ココが社長室で良かった。

こんな顔、部下には見せられないからな。


< 156 / 557 >

この作品をシェア

pagetop