社長と秘密の生活



「で、どんな人なの?」


畳む手を止めて覗き込まれた。


「う~ん、会社の上司」

「歳は?」

「26」

「あら、若いのに上司だなんて…有望なのね?」

「まぁ…」


私は苦笑いなのにお母さんは満面の笑み。

だって、社長って“上司”よね?

そりゃあ、有望も有望。

“一条財閥”の御曹司ですもの。


「お母さん、嬉しい?」

「そりゃあ、嬉しいわよ。娘と彼氏の話をするのがお母さんの夢だったもの」

「えっ、そうなの?」


初めて聞いたよ。


「えぇ。お父さんはあぁでしょ?私の楽しみは杏花の幸せだけよ?」


お母さんは優しく微笑んでくれた。


父親は職人気質で無口な上、頑固者。

母親はおっとりとした性格でいつも笑顔を絶やさない。

とっても優しい人。


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