りぼん結び。


「・・え。」



みんながわいわい騒ぐ中、私は地獄に落とされた気分だった。



「でもっ、大野は彼女いるじゃん!」


千夏が、止めてくれようとした。



・・なのに。


「別にいいよ。俺は。」



そういって、直哉はちゅっと莉子ちゃんにキスをした。



「・・・っ」


慣れているから、大丈夫。


そう思っていたのに、やっぱり心は正直で・・目には涙がたまった。



「どうしたの?若菜。」


葵がとなりで心配してくれている。


「・・っなんでも、ないよ。ちょっと・・トイレいってくる・・っね!」


そういって、私は急いで部屋から出た。




「・・っ、もう・・やだ。」



ケータイには、千夏からの心配しているメールが何通もきていた。



「・・うっ・・」



私は、またひとりで――ひとりぼっちで泣いた。


声を押し殺して。


これからも、笑えるように。


強く、なれるように。

< 35 / 194 >

この作品をシェア

pagetop