りぼん結び。


すぐ泣く子、嫌いなんじゃないの?


すぐに飛んでいくような、大切な子なの?



私は階段に座りこんだ。




「あれ?・・若菜、どうしたの?」


誰かに声を掛けられて、私は顔を上げた。



「あ・・、葵。」


「こんな所で何してるの?」


「・・なんでもないよ?息抜きしてた、だけっ!」



私は、いつもより大きな声を出して。


いつもより、明るく振舞った。



「・・本当に大丈夫?」


「な・・なにが?」


「大野の彼女ってさ、若菜だったり・・する?」



突然の質問に、私はなんて答えたらいいのかわからなかった。



・・直哉の彼女です。


そんなふうに言える、自信はなかったから。



「えっと・・」


「やっぱり、そうなんだ。」



葵は、ふっと切なげに笑った。

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