りぼん結び。
「・・・っ、大野君どいて!」
「・・・・・気に入らない。」
彼は不機嫌そうに私を睨んでそう言った。
「はぁ・・?」
意味がわからなかった。
どうして別れた私に構うのか。
付き合っているときは、見向きもしなかったのに。
「ねぇ、早くそうじ終わらせて帰りたいんだけど!ていうか、人見てるし・・・。早くどいてくれない?」
そういっても直哉はピクリともしなかった。
ただ、周りの視線が痛くなるだけ。
「・・聞いてる?”大野君”ってば!」
すると彼はいきなり、私の手をグッと引っ張った。
「・・きゃっ・・!?」
そのまま歩き出して、教室に入っていった。
教室には、ただピシャンとドアを閉める音が響いた――・・。