りぼん結び。



「・・・っ、大野君どいて!」



「・・・・・気に入らない。」



彼は不機嫌そうに私を睨んでそう言った。




「はぁ・・?」




意味がわからなかった。



どうして別れた私に構うのか。



付き合っているときは、見向きもしなかったのに。





「ねぇ、早くそうじ終わらせて帰りたいんだけど!ていうか、人見てるし・・・。早くどいてくれない?」




そういっても直哉はピクリともしなかった。



ただ、周りの視線が痛くなるだけ。




「・・聞いてる?”大野君”ってば!」




すると彼はいきなり、私の手をグッと引っ張った。



「・・きゃっ・・!?」



そのまま歩き出して、教室に入っていった。


教室には、ただピシャンとドアを閉める音が響いた――・・。




< 98 / 194 >

この作品をシェア

pagetop