ハレゾラ

何とか駅まで向かうと、希美に連絡を入れようと携帯を探す。しかし、携帯が
見当たらなかった。

(あっそっか……。さっき投げ捨てたんだ)

携帯を置いてきてしまい連絡できないのは困ったが、今はあの携帯を持っていたくなかった。

(しょうがない、直接行ってしまおう)

こんな時間に申し訳ないなと思ったが、今頼れるのは彼女しかいない。
電車を乗り継ぎ、目的の駅に到着する。
希美の家までは、この駅から歩いてすぐのところにある。5分ほど歩くと、希美
に家が見えてきた。
少し躊躇しながらインターホンを鳴らすと、すぐに希美が出てきてくれた。私の
顔を見るなり苦笑して、家に中へと連れていってくれる。
玄関に入ると、徹さんも心配そうな顔で立っていた。


「徹さん、ごめんね。こんな遅くに……」


「いや、全然構わないよ」


笑顔でそう言うと、キッチンへと姿を消した。。
< 146 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop