ハレゾラ
小悪魔が悪魔!?

食事を終え片付けを手伝っていると、坂牧が声をかけてきた。


「今日は悪かったな」


こんな時、私は何と答えればいいんだろう。
坂牧のお陰で私と彼は元どうりになれたわけだけど、その結果、坂牧自信は私に
振られてしまった事になるわけで……。
それも彼と坂牧は兄弟で……。坂牧に至っては上司で……。
あぁぁぁぁっ!! 頭が混乱してきてしまった。
一人百面相の如く、手振り身振りを交えて考え込んでいた私を見て、坂牧が笑い
出した。


「お、お前ってやっぱ面白いのな。何にでも一生懸命って言うか、真面目って言
 うか」

「面白いって……ひどいですよ。こっちは真剣に悩んだのに……。でも、ごめん
 なさい」


今ここで謝るのは適当ではないのかもしれない。けれどここで言わなければ、今
後仕事で顔を合わすときに気まずくなるような気がした。
勝手かもしれないが坂牧とは今まで通り、一緒に仕事をしていきたいと思ってい
る。上司とその部下……という関係で。


「何謝ってんだ。お前、何も悪いことしてないだろ」

「でも……」

「まぁ、最初からこうなることは分かってたからな。あいつ……翔平がライバル
 ってのは気に入らないが」

「誰が気に入らないって?」


キッチンの入り口にもたれかかって、彼が面白くなさそうに立っていた。。
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