ハレゾラ

あまりの美味しさに、勝手に笑みがこぼれる。

箸を置き、ビールに手を伸ばそうとして、ふと視線を感じた。
その視線の先をたどっていくと、前に座っている彼がニコニコしながら私を
見つめていた。


「な、なに?」


また何か知らないうちに変な事してた?


「相変わらず、美味しそうに食べるよね」


「そ、そうかなぁ……。だって美味しいもんは美味しいんだもん」


「じゃあ今日は車に感謝……かな。車が故障したなかったら、またこうして
 咲さんの幸せそうな笑顔、見る事出来なかったでしょ?」


目をパチパチさせながら彼の顔を見る。もう……この年下くんは、どれだけ
私を喜ばせてくれるんだろう。

まだ食事の途中なのにお腹がいっぱい……じゃなくて、胸がいっぱいになってしまった。

どうしてだろう? いつもの事なのに。なんか泣きそう……。

涙を見せるのが嫌で、無理やりご飯を頬張った。
慌てたせいか、それとも気持ちのせいか、ご飯が喉を通らなくてゴホゴホと咽てしまう。


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