Black Coffee.





「 菜緒ちゃん、どうしたの? 」


「 ・・・・え?何が? 」


「 それ、ハズレだった? 」





持っていた本を指差されて
”どうして?”と首を傾げた。
少し心配そうな顔であたしの
顔を覗き込む彼女は、中学からの
親友、若瀬紗希[ワカセ サキ]。





「 全然進んでないし、それに
  眉間にシワ寄ってるよ? 」


「 ・・・・あー・・ 」





片手で眉間に触れて”そうかな”と
言ってみるけど、隠し切れないのは
この時点で分かっていた。





「 少し出よっか 」


「 あ、待って?これ借りてくる 」


「 面白いの? 」


「 うん、すごく 」







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