社長の溺愛・番外編

お昼寝。




夏の厳しい残暑もようやく身を潜め、秋の冷える風が吹く季節



夕方4時、高層ビルの社長室を一面照らすのはオレンジ色の夕焼け


物音一つしないその部屋で、静かに寝息を立てる翼の姿がそこにあった


備え付けのベッド、ではなく大きなソファーの上でブランケットに包まり頬を夕焼け色に染めている


普段ならば誰かしらが出入りしている社長室には、秘書の幸弘はおろか、社長である慎すらいない


理由は簡単、彼らは仕事で日帰りの出張に出かけており、1人で出歩くことを禁じられているお姫様はお城でお留守番を命じられているのだ


そのお姫様はというと、デザイン画を作成中に睡魔に誘われてしまったのだ


すやすやと、静かに寝息を立てて寝るその姿はまるで眠れる森の美女


だかしかし、そのちいさな頭の中では素敵な素敵な夢を見ているのだ


眠ってなんか、いられないのだ




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