雫-シズク-
学園。
そのまんま僕は高木さんと桜井さんに腕を引っぱられて古い建物に連れていかれた。


出しっぱなしのくつの横にほうきやモップがごそっと置いてあるごちゃごちゃした玄関で、高木さんがぼそっと言う。


「それじゃ、圭介くんを案内してあげて」


「はい、わかりました」


一回も僕の方を見ないまんまの高木さんがどこかに行ったあと、まだ涙が出ている僕に桜井さんが話し始めた。


「ここは『清愛学園』です。明日から圭介くんはここから学校に通うの。圭介くんみたいに両親と離れて暮らす子達があと10人いるのよ。仲良くしてあげてね」


桜井さんが僕の顔をのぞき込んでにっこり笑う。


頭の中が真っ白になった僕はぼうっと聞いていた。


「一日のスケジュールは時間ごとに決まっていて、あとでスケジュールを渡すね。まずここが圭介くんの靴箱」


傷だらけで元の色が何色かわからないくつ箱に、桜井さんが僕のはいていたくつをしまう。


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