雫-シズク-
訣別。
「……さん!……さのさーん!聞こえますかー?」


暗闇の中、不意に遠くから誰かの声が聞こえてきた。


……誰かが、呼んでる?……うるせぇな。


「浅野さーん!聞こえたら手を握って下さーい」


……手?……感覚もないのに、力なんか入んねぇよ。


ぱしぱしと頬に軽い衝撃を感じて何とか薄目を開けると、いきなり瞳の奥に鋭い光が差し込み僅かに顔を歪めた。


「意識戻りました!浅野さーん、ここがどこかわかりますかー?」


聞き覚えのない女の声をじんわりと痺れた頭に漂わせる。


……ここ、どこって?


かすんだ視界が少しずつはれてくると、俺は白い制服の数人の人間に取り囲まれていた。


……ああ、わかった。……病院だ。


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