私の片想い事情 【完】

ホント勝手だよね?


隼人は本当に私をどうしたら引き止められるのかよく分かっている。


一番欲しい言葉はくれないのに、心が泣きたくなるくらい喜ぶ言葉を知っている。


これが少女マンガの王道なら、『他の男のところに行くな』の次は、『俺もお前が好きだ』と続くけど、そんな簡単にはいかない。


分かっているのに、私は隼人の言葉に一生懸命意味を見出そうとしている。


ただ一言、『どういう意味なの?』と尋ねればいいのに、できないでいる。


だって、隼人にまだ必要とされていることが嬉しいから。


拒絶されなかったことに安堵して、また傍にいられることに喜んでいる。


あーあ、何て安い女なんだ。


情けなさに、隼人の胸に深く顔を埋めると、抱きしめる腕にぎゅっと力が入り、私は、さっきまで怒っていたことも忘れて隼人にしがみついていた。





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