私の片想い事情 【完】

再度目覚ましのアラームが鳴り響く。


この耳障りな音に全く反応を示さず、ぶてぶてしく寝息を立てているこの男がうらめしいとじっと睨んだ。


私がついため息を漏らしてしまうのはこの男が原因。


漫画のイケメン主人公のようなお約束通りのかわいい寝顔。


そして、「子供みたい(ハート)」と触れたくなる私もお約束通りで。


閉じた瞼から生えるまつ毛は、女の私よりも長い。


すっと伸びた鼻とシャープな顎が可愛い寝顔にアンバランスな端正さを醸し出し、少し開いた唇が何とも言えないくらいに色っぽい。


じっとその寝顔を見つめれば、その魅惑的な唇に吸い寄せられる。


一指し指でそっと唇をなぞると、温かい吐息が指にかかり、小心者の私ははっとして指を離した。


心臓がドキドキうるさい。


「ねぇ、隼人……起きて」


私は、ため息とも吐息とも言えないような小さなな声で呟いた。






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