夜兎

③ 不安


八木「でも警察の人、『その件は残念ながら我々の管轄外でして』とか言って 全然相手にしてくれないんすよ…。」


佐々木「は!?なんでだよ。おもいっきり管轄じゃねぇか…。暴行容疑とか、誘拐とか、不法侵入とか いろいろ引っ掛かってんだろうに。」

確かにそれは言えてる。

八木「分かってますよ。けど、全然だめだったんです。」

周りの皆もザワつく。

警察が手出し出来ないなんて…

変だ。一体何が起きてるんだろう…?

ルルちゃんて、何者なんだ…?

劇団員全員がより一層不安を感じはじめた

その時



トゥルルルル〜…ルルルルルルル〜♪

稽古場の電話が鳴った。




ビクッ

ただの電話なのに、皆して飛び上がってしまう。




おっかなびっくり
池堀が受話器を取る。



池堀「…もしもし。劇団『きなこ』、劇団員の池堀ですが。」


電話の相手「…もしもし。九條です。翔太、そっちの皆は大丈夫?」

…はっ!?!?!?

池堀の頭が一瞬パニックを起こす。

電話の相手は九條篤志。

声からして間違いは無いのだが 誘拐された(?)割には、かなり元気そうに話している。

どうなっているのやら…。訳がわからない。



固まって返事も出来ない翔太に、心配した篤志がもう一度声をかけた。

九條「しょうた?おーい!!聞いてるかい?何か喋れよ〜。」


池堀「…あ。えっ? てか、やっぱり…え?九條くん なんだよね?ほんとに?」

九條「ったく〜 さっきからそう言ってんだろ?皆無事か?」

やっと喋り出した翔太に、九條は笑いながら同じことを聞いた。


翔太の周りには『九條くん』という言葉が発せられたことに驚いた皆が、彼を取り囲むように集まってきた。

池堀「うん。皆は無事だよ。さっき公演も終わった。今はまだ劇場が使えないから、近くのホールを借りたんだけどね。」


九條「そうか。なら良かった。」

池堀「九條くんの方は?今はどこにいる?」

メンバー達がぐっと距離を詰め 受話器からの声を必死で聞こうとする。

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