state of LOVE
「思わねーけど、俺のこれが…マリーを苦しめてるのは知ってた。だから、なるべくマリーには近付かないようにしてた」
「だろうな」
「俺はメーシーが好きだったし、マリーのことも好きだった。だから…寂しかった。セナからの愛情は独り占めしたい。でも、出来れば大勢で楽しく暮らしたい。いつもレイと二人で寂しかったから」
「正直な息子で嬉しいよ、父は」

あぁもうっ!とくしゃくしゃと頭を掻く俺に、メーシーは柔らかに微笑んで見せた。そして、じっと黙って話を聞いていたハルさんを見上げる。

「話し合えば?父と娘で」
「…今更?」
「俺達皆が家族になること。それが姫の願いだとしても、か?」

ちーちゃんの名を出されてしまえば、ハルさんは頷くしかない。

メーシーと同じで、ハルさんにとってちーちゃんは全て。
溺愛と言うよりも異常。

そんな言葉が似合いすぎるくらいの愛情を惜しみなく注いでいる。

「恵介に任せとったら心配やから…な」
「いってらっしゃい」

にっこりと微笑むメーシーの顔は、サディスティックな気配など微塵も感じさせないくらい穏やかで。よくもまぁ…と、我が父ながら色んな意味で尊敬に値する。

「ちょっと不安定なだけじゃねーの?ほら、陽彩が産まれたばっかだし」
「それにしては異常だったろ、さっきの」
「まぁ…」

普段どれだけ苛めても涙を見せることのない聖奈の涙は、俺に不安を植え付けるには十分で。大人しく指をしゃぶっている美緒をギュッと抱き、そっと瞼を落として胸の奥の痛みに耐えた。
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